みちのく潮風トレイル 1 – 相馬市

ついに、みちのく潮風トレイル全長1000kmのスルーハイク初日を迎えた。

昨夜から泊まっている『旅館いさみや』の私達の部屋の窓の向こうに見えるのは、晴れ渡った雲一つない空と穏やかに凪いだ海。これは幸先の良いスタートになりそうだ。

2021年のいさみやさん。2023年に全館リノベされ、とてもきれいなお宿になっている

福島県相馬市は、みちのく潮風トレイル(Michinoku Coastal Trail, 略してMCT)が通っている東北地方太平洋側4県29市町村の最南の街だ。一昨日に自宅のある徳島県から列車と新幹線を乗り継いで東京に来た私達は、昨日上野駅からJR常磐線の特急ひたちで相馬駅にやって来た。

みちのく潮風トレイルを歩く人達、とくに全線踏破を目指すハイカーの間では北の青森県八戸から南向きに歩いていく、いわゆるSOBO (Southbound) ルートが圧倒的多数だろう。実際、プロモーションやメディアに取り上げられている内容を見ていても、関係管理団体もSOBO推しなのだなと感じる。そもそも10冊組の公式マップブックも第1巻の最初のページは八戸で、巻を重ねるごとに南下していくのだ。(もちろん中身の地図には、主要な地点間の距離は南向きから数えた距離だけではなく、北向きでの距離も併記してあるので困ることはない)

別に主流派に逆うという意図は全く無いが、私達は北向き(NOBO)でスルーハイクすると決めた。

宿のお部屋から見た朝の美しい海
いさみやさんも松川浦も大震災で壊滅的打撃を受けた

みちのく潮風トレイルの存在を知り、歩きたいと思い始めた最初から、自然に北向きで行くものだと思いこんでいた。実は南向き主流と知ってむしろ驚いた程だ。なぜか私の頭の中には「長い距離を旅する」=「都会から出発してより田舎に向かっていく」という感覚がある。だからみちのく潮風トレイルの場合は「より東京に近い福島から本州最北の青森へ」というイメージがあったのだ。

結局この北向きで行くアイデアは、他の様々な条件を考慮しても、私達にとっては南向きよりも合理的に思えた。その理由はいろいろあるので今後の投稿で述べていくつもりだが、まずは何より温暖な四国住みの私達には東北の春先の天候はまったく想像がつかなかったということがある。東北と言っても広い。天気は日本海側と太平洋側でも、奥羽山地沿いと海沿いでも異なるだろう。ただ、少なくとも南の福島の方が北の青森よりは温かそうなイメージがある。何と言っても青森は豪雪地帯というのは日本人共通の認識だろう。

すこしでも南の地域から出発して、歩いているうちに春の桜前線だった追いついて来てくれれば良いなという希望的観測が北向きでいく理由の一つだった。

松川浦沿いの道を、みちのく潮風トレイル南起点に向かう

相馬駅に到着した後は、駅近辺で宿を取らず、タクシーで松川浦のいさみや旅館に来た。

目の前はすぐ海というロケーションから、いさみやさんの通常の客層は海釣り客が多いように思えた。ただ、ここはみちのく潮風トレイルの南起点がある松川浦環境公園から、たった1.5kmという場所なのだ。歩いても20分もかからずに行けるのである。

実は公園の反対側のもっと近い場所に別の宿泊施設もあったのだが、コロナ禍中で一時休業していたのだ。いさみやさんのお部屋はとても過ごしやすく、館内設備も整っていたので、スルーハイク開始前に申し分のない一夜を過ごせた上に、朝は好きな時間に歩いて南起点に行くことができた。これが駅前に泊まっていたら、朝タクシーを呼んだりなんだりとちょっと面倒くさかっただろう。いさみやさんを見つけて正解だった。

素泊まりだったので、朝は荷造りに集中し、8時少し前にチェックアウトした。宿の前、松川浦沿いに走る38号線(県道相馬・亘理線)をゆるゆると歩いて松川浦環境公園に向かった。

松川浦環境公園
福島県相馬市、みちのく潮風トレイルの南端の標識

ほどなく到着した公園は、全体的に平たい開けた公園で、南側起点の大きな標識はすぐに見つかった。やはりロングトレイルの両側の起点にしっかりとした標識があると気分が盛り上がる。
園内はいくつかカラフルなトーテムポールがある以外は特に見るものもなく、早朝で人の気配もなかったため、入口脇のみちのく潮風トレイル地図を眺めた後すぐに出発した。

2021年3月26日、午前8時25分、いよいよみちのく潮風トレイル1000kmの歩き旅が始まった。

いざ歩け!と意気揚々と歩き始めたが、500mも行かずに待ちかねていた最初のコンビニだ。なにしろ朝食をまだ食べていない。私は加えてコーヒーでカフェインを補充せねばならぬ。ちなみに巨神兵は紅茶等なのでコーヒーは飲まない。店先でおにぎりやサンドイッチをさっさと平らげ、歩きながら食べられる携行食も少し買って再び歩き始めた。

いちご農家さんの直販所で開店前なのに長い列ができているのを通り過ぎる。開いていればきっとむちゃくちゃ美味しいのであろうその苺をちょっと食べたかったと悔しく思いながら、静かな車道沿いの歩道を進む。

とあるいちご農家さんの直売店には開店前から長い列が

初日の今日はトレイルのルートは相馬市街地を通り抜けた後、次の新地町の郊外を進む。道の95%以上はアスファルトかコンクリ舗装のはずだ。

今歩いている最初の部分から相馬市街地までのルートは、まっすぐな農道を進む単純な迷いようのない道…のはずだった。ほとんど進みもしないうちに、さっさと最初の「予定は未定」が訪れた。

私達が進むはずのルートは、小泉川と宇田川の2本の細い川に挟まれた農地の真ん中を突っ切っているはずなのだが、川を横切る橋と道路が全面工事中だったのだ。工事現場の中を通る歩行者用の通路は作ってくれいたので引き返す必要はないが、そのまま進むと川を2つとも越えてしまう。これでは川の間の農道には曲がれない。

しかも、目指す農道にもトラックや重機が走り回って大工事中だ。道と路肩と大幅に強化しているようで、農地内には畑の世話を必要がある所有者さん達以外、車も人も全面通行止めだった。

むだなあがきとは知りつつも、一応工事中のおじさん達に「あちらの農道に行くことはできるだろうか」とおずおずと聞いてみたが、当然みなさん「いや、たぶんダメじゃないか?」とすなまそうな顔で首を振った。

ご迷惑をかけてもいけないので足早に仮歩道を通り過ぎ、橋を渡りきった所でスマホを取り出した。紙の公式マップブック全巻に加え、事前にみちのく潮風トレイルクラブのウェブサイトで提供されている全ルートのGPXファイルは『ジオグラフィカ』アプリにアップ済みだ。巨神兵もガーミンに入れている。私はこの他にYAMAPヤマレコの地図もダウンロードしているので(どちらも有料会員だ)、三重四重の道迷い防止対策である。

どうやら今いる宇田川南側の道路をしばらく行くと国道6号線にぶつかるので、そこからなら元のルート通りの道に戻れるかもしれない。確かにそこまで行くと、川を越えて高架になっている6号沿いの歩道に上ることができ、少し北に戻ると、2つの川の間の農地に下りられる階段があった。ちょうどここまでが工事で全面通行止めだった区間で、ここからは正しいルートに戻ることができた。

まだ田植えや野菜の植え付けシーズンの前なので、空っぽの広い農地が広がる中を進んでいくと、いつしか道は宇田川北岸沿いの土手の上の細い道につながった。日当たりが良い場所だからだろうか、そこかしこで春の兆しの花々が咲いている。背の高い枝垂れ桜の枝々に五分咲きの花がびっしりとついていて、満開前でもとてもきれいだ。みちのく潮風トレイル上で初めて桜の花を見られて、興奮してしまった。

宇田川沿いの土手の道を、相馬市街地に向かう
巨神兵、身長2m7cm。通行禁止の対象だ(成人男性の大部分は通行禁止では?)

遡ること数週間前、自宅でスルーハイクの計画や準備を進めている頃から質問や事前に予約が必要なことの手続きのために、みちのくトレイルクラブのスタッフの方たちと何度かやり取りをした。その時、相馬市街地を通る時はぜひ相馬市の観光案内所がある『千客万来館』に立ち寄るよ良いとアドバイスをいただいた。

相馬市観光案内所のある千客万来館

千客万来館はちょうどルート沿いにあり、トイレ休憩もさせて欲しかったので、商店街を抜けて到着するとそのまま館内に入ると、すぐ中の入口前ホールに何故かメディア関係らしき人たちや揃いのグレーのジャケットを人たちがわらわらと立っていた。一斉に視線が集まるのを感じ、何かイベントの最中にお邪魔してしまったのかと思ったが、明らかに私達は彼等が待っていた相手ではなかったようであっという間に皆元のように人待ち顔でそれぞれしていたことに戻った。

どうやら昨日から東京オリンピックの聖火リレーが福島県南部から出発し、北上しているらしい。今日はたまたま午前中に相馬市内を聖火ランナーが走っている最中で、ここは選ばれた地元のランナーの人たちの受付場所というわけだった。

観光案内所は通常通り営業しており、スタッフは皆さん揃ってとても歓迎してくださり、みちのく潮風トレイルの相馬市内のルートの拡大地図や記念のピンバッジをいただいた。千客万来館のSNSへの投稿用にみちのく潮風トレイルのハイカーが立ち寄ったら記念写真を撮っているというので、もちろん快くご協力した。むしろ私も良い写真が撮れて大喜びだ。

オリンピック聖火リレーランナーの受付中
観光案内所の方たちから、相馬市内区間のみちのく潮風トレイルの地図をいただいた
記念ピンバッジ・相馬市バージョンもいただいた

千客万来館は相馬中村城跡中村神社のすぐ隣にあった。

神社への長い参道は桜並木で、こちらの桜は蕾は大きく膨らんではいたがまだ開花前だ。もしもう1週間かそこら後に来ていたら、きっと見事な花盛りだっただろう。参道の両脇にはグランドのような駐車場の様な土の広場だ。相馬エリアと言えば、全国でも有名な相馬野馬追。中村の神社や城は主要会場の一つなので、きっとこの広場もその時には人と馬で埋め尽くされるのだろう。

相馬中村神社

中村神社の脇から裏手に回っていく道へ入るところで、初めて板塀の上にみちのく潮風トレイルのロゴ入り公式道標のプレートが張ってあるのを発見。なにしろ松川浦環境公園の南起点の立派なモニュメントを見て以来、川の中の農地でも相馬の市街地でも、みちのく潮風トレイルの道標を全く見かけなかったので、道標無しか?と正直不安になりつつあったのだ。全くの杞憂だったようで、ここから先はありとあらゆる重要な曲がり角では必ずみちのく潮風トレイルの波々のロゴが出て来るのだった。

南起点の標識以降、初めてのみちのく潮風トレイルの公式道標
相馬中村神社からは次々と公式道標が
さて、どれが本物のおばあちゃんか当ててみよう(答:全員かかし)

市街地はあっという間に抜けてしまい、周りの風景は再び地方都市の郊外そのものになっていく。細い川の脇の砂利道に入る角で大型店舗が幾つか集まったショッピングセンターがあった以降は、店も自販機もなくなった。

田植え前の耕された土だけの田んぼと、たまにこじんまりとした野菜畑とが延々と続き、時折出てくる小さな集落を通り過ぎていく。

あちこちで土手や堤防の強化工事中
大切な曲がり角には必ず道標が
A supportive local allowed an MCT sign on their private property
みさご沢池

そんな集落の家々の多くが、屋根にブルーシートが被せてあったり、窓ガラスが壊れて板で補強していたり、庭の塀が崩れてしまったりしていた。村毎に幾つかある神社の石の鳥居や灯籠が落ちて壊れたままのところもある。いずれも見た感じごく最近の被害のようだったので、この2月と3月に立て続けに起こった福島と宮城の大型地震にやられたのだろう。

道端のみちのく潮風トレイル道標を探したり、まわりの風景を見たりキョロキョロしながら歩いている間、すっかり空への関心が疎かになっており、あれほど青く晴れ渡っていた空がいつの間にか灰色の雲に覆われていることに気がつかなかった。ぽつっと来たかなと思った途端に、パシャパシャと降り始める。田園地帯の真っ只中ではあったが、幸いにもちょうど113号道路の高架下を通り抜ける直前だった。とりあえず雨宿りしながら重いザックをおろし、携行食をつまんで軽い昼食休憩とした。雨が続くようなら雨具を引っ張り出すしかないだろうか。

実はこの時相馬市と新地町の市町境の上で雨宿りしていたことを、私達は気づきもしていなかった。

雨は幸いすぐにやんでくれた。15分程度休憩しただけでザックを背負い直し、みちのく潮風トレイル上2つ目の市町村、新地町へと歩き出した。

高架道路沿いに少し進んだ後、道標は脇の小さな丘の中に入っていけと言う。農地の端にみごとないちょうの巨木がそびえ立っていた。この時期もちろんまったく葉は付いていないが、この大きさの木が秋にびっしりと黄金色の葉で覆い尽くされれば、どれだけ壮観な景色だろう。その頃には周りの田んぼも全て黄金の稲穂だろうから、さぞかし絵になるに違いない。

白幡のいちょう
新地町の背後、明日歩く予定の山の連なり

いちょうを越えた先は、再びどこまでも広がる空っぽの田園地帯を進んでいく。新地町総合公園の中を通り過ぎる辺りで、ここまでの歩きで体の調子はどうかをお互い確認した。最初の計画では、初日の今日は新地駅から2kmの辺りにある次のコンビニまで歩いて終わりにしようかと考えていた。ここを過ぎるとルートは直角に曲がり、駅から遠ざかっていくので、どこで終わってもまた駅に向かって引き返して来るのはどう考えても無駄だ。

コンビニは朝に出発した松川浦環境公園から約22km。私達がこの手のロングトレイルで一日に歩く距離は、高低差にもよるがだいたい20~30kmなので、決して短すぎる距離ではない。ただ、ここからもう5km歩くと鹿狼山の登山口に到達できる。今日登山口まで行っておけば明日の行程が楽になるので、できれば進んでおきたい。

新地町総合公園内に入る

そもそも登山口のすぐ横にある鹿狼の湯で宿泊できていれば何も悩まず直行なのだが、数日前の時点でこの日の夜の部屋はもういっぱいだった。週末の夜なので当然の話か。

鹿狼山の麓のエリアでは他に宿泊施設はない。結局宿泊施設があるのは電車の路線沿いの街中なので、線路から離れる方角に進んでいくのは面倒くさいことになるだけなのだ。

鹿狼の湯の代替えとして、私達は新地駅の真ん前に最近オープンしたらしいビジネスホテル『ホテルグラード新地』に2連泊することとした。明日進む予定のエリアにも宿泊施設はなさそうなので、それならば一駅先から新地駅に電車で戻ってくれば良い。電車も四国の田舎に比べれば遥かに何本も走っている。なにより同じ部屋に2連泊ならば、明日は不要な荷物はすべて部屋において身軽に歩くことができるのが最大の利点だ。

それではなぜコンビニから先に進むかどうかをまだ検討しているのか?昨日、相馬駅からいさみや旅館まで乗せてもらったタクシーで、ドライバーさんにふとその話をしていると「鹿狼山の登山口なら、よくタクシーで山登りの人を迎えに行きますよ」と言うのだ。地元の人たちが山登りしたり温泉に行った帰りなどに、登山口からタクシーを呼ぶのは普通であるらしい。「登山口から新地駅なんて、車だとすぐですよ。登山口から電話してください」とタクシー会社のカードを渡してくれた。

これで「歩いて引き返すの面倒くさい」問題は解決した。後はコンビニまで行ってみて、そこで行くかやめるか決めようということにしていたのだった。

コンビニの時点で、特に疲れてもいなくやる気もバッチリ、全く問題なしだった。

—と言うと、少し語弊がある。

実はコンビニ手前ほんの数十メートルというところで、私がなんということもない道端の段差につまずき、踏ん張って持ちこたえたかと思ったら意外と荷物が重く、そのまま顔から思いっきりこけてしまった。

最初の「あ!」で振り向き、この見事な転倒っぷりの一部始終を目撃してしまった巨神兵は、文字通り心臓が一瞬止まったらしい。コンビニのトイレで顔や手を洗う私の横で「まじで寿命が何秒か縮んだんだけど…」とまだドキドキしていた。
幸いなことに大きな怪我はなく、両手の平に軽い擦り傷、顔もぶつけた割には唇付近の擦り傷で数日間「ちょっと唇が分厚いかな」程度で、行動に支障はなかった。私もむしろあまりにも見事にコケることなど大人になってから20年近くなかったので笑えてきたぐらいだ。

大丈夫と言っても巨神兵はまだここから先に進むことは躊躇していたが、そこは「いやほんとに大丈夫だから行こう、明日のためにも」と押し切った。

コンビニを出て、新地駅の方角とは逆の西の山々の方へ向かっていく。辺りの風景はどんどん牧歌的になっていき、まっ平らな農地に風が吹き抜ける。高い杉の木が一列に並び、下には笹が茂っている防風林が農地の端を縁取っている。普通のかまぼこ型ではなく、直方体で全体がガラスでできたグリーンハウスがずらりと立ち並ぶ一角を通り過ぎる時、巨神兵がオランダの風景はこんな感じだとしきりに言っていた。

オランダ式・ガラスのグリーンハウス

山に近づくにつれ、低く細い木がびっしりと立ち並んでいる一角が増えてきた。どれも同じ種類の木であることは違いないのだが、若葉もついていない丸裸の状態なのでその状態で何の樹木なのかは私達には到底わからない。明らかに整然と並んで植わっているので、ここら辺りは園芸農家さんも多いのかもしれない。

杉目大槻神社

午後3時半、ついに鹿狼山登山口に到着した。

鹿狼の湯の来場客用の広い駐車場が真横にあり、もう半分は埋まっている。宿泊が満室なのも頷けた。登山口周囲はまた明日の朝にゆっくり見れば良いので、早速昨日と同じタクシー会社さんに電話をかけると「すぐ行きます」と一台回してくれた。

本当にすぐに20分もしないうちにタクシーが勢いよく坂道を登ってきて、私達が待っていた駐車場脇のベンチ前に停まった。地方タクシーあるあるの、ドライバーさんは土地勘ばっちりの70代半ばらしきおじいちゃんで、私達のザックをトランクに積み込むのを手伝ってくれるとすぐに新地駅への出発した。

鹿狼山登山口
手描きの鹿狼山ルート地図
鹿狼山の名の通り、狛犬ならぬ鹿と狼が守る登山口

登山口横の温泉に入れないのは残念だが、今夜から泊まるホテルグラードのすぐ横には『つるしの湯』という天然温泉施設が併設されていて、宿泊者は内部の通路からいつでも出入りできるのだ。
日本のロングトレイルでは毎日の温泉や大きなお風呂が楽しみのひとつなので、これは本当に嬉しい。

新地駅周辺には珍しことにコンビニがないのが少し残念だ。ただしホテル横の入浴施設には食事処があり、飲み物は自販機で買える。食事処での夕食は明日の夜にとっておいて、今夜はコンビニで買って食べることにした。タクシーのドライバーさんに、買い物をしたいのでホテルに向かう途上にあるコンビニで一端停まって、買ってくるまで待っていて欲しいと頼むと快諾してくれたので、手早く弁当やおやつを買った。ホテルにはもちろん電子レンジもある。

鹿狼山の登山口まで到達できたおかげで、初日の歩行距離は約28kmだった。この数字には旅館いさみやから松川浦環境公園までの1.2kmも入っている。
初日、しかもほぼ舗装道路歩きだというのに、少しとばしすぎただろうか。それでも歩いている最中も、ホテルにチェックインした後の夜以降も、足も腰も体のどこも特に痛みもない。開けた田園地帯で遮るものも少ないためか、ずっと向かい風は吹きつけていたが、思った以上に春の日差しは暖かく天気もあの通り雨以外はとても良かったので、とても気持ちよく歩けた。

みちのく潮風トレイル・スルーハイク初日は、快調な滑り出しで幕を閉じたと言っても良いのではないか。

もちろん、見事にこけたことは気合を込めて忘れよう。

みちのく潮風トレイル 1

スタートみちのく潮風トレイル南起点
歩行距離27.6km
累積標高(増/減)231m/96m
ゴール鹿狼山登山口
活動時間7h 40m
最高地点/最低地点139m/ 0m

ルートデータ

宿泊情報

ホテルグラード 新地

Official Website

みちのく潮風トレイル スルーハイク: 2021年 3月後半 〜 5月前半