De Duintjesトレイル:秋の森をウォーキング

オランダ中部には広大な森林地帯がある。
その森の中の小さな村・ガーデレン Garderen の『Du Duintjesトレイル』を歩いた。

サマータイムも終わり、最近はようやく「典型的なオランダ11月っぽい」天気が続くようになった。
すなわち、毎日曇って寒く、一日最低一回は雨が降る。秋は急速に過ぎ去り、冬はすぐそこに来ているようだ。この日も気温は9℃だが、風があるので体感では4℃となっていた。

Du Duintjes とはオランダ語で The Dunesという意味だ。
Duinが砂丘で、そこに「小さな」という意味を加える「je」が付き、最後に複数の「s」が付くので、「ちっちゃな砂丘がいくつもある場所」という感じだろうか。

Garderenは国立自然公園デ ホーヘ フェルウェの北側の森林地帯の真ん中にある美しい小さな村で、オランダ人が週末やバケーションを自然の中で過ごすための軽易な別荘村がそこらじゅうにある。

私達もそんな小さな貸別荘に短期滞在し、都市の喧騒から離れ、木々に包まれ、とても静かな時間を過ごせた。

森はほとんどが広葉樹なので、地面は様々なカシやナラの落ち葉で覆われている。残念ながらもう7〜8割の葉が落ちてしまったようだ。それでも今でさえこの美しさなのだから、1〜2週間前ならば森全体が完全に黄金色に包まれ、息を飲むような光景だっただろう。
ところどころは常緑の針葉樹林で、その濃い緑が黄金の中で良いアクセントになっている。

今のオランダは一年で一番湿っぽい時期なので、地面を覆う苔の絨毯がとても生き生きとしている。濃い緑の苔が目立つが、その中にところどころ違った模様を描く少し明るい緑の水苔も、大好きな水をたっぷりと含んでつやつやと美しい。

これだけ空気も地面も湿っぽければ、きのこ類だってもちろん大張り切りだ。

「小さな砂丘の森」と言う名の通り、枯れ葉の下は砂地。地表を覆う草木がなければ、海岸近くで見るような小さな砂丘がポコポコと続く光景が広がるのだろう。

その砂丘のお陰で、ひたすらまっ平らな土地オランダに暮らす私にとっては極めて貴重な「高低差」がトレイル上に存在する。たとえ勾配はささやかで短かろうとも坂は坂。登り坂と下り坂を歩くことがこんなにも嬉しいことなのだと思わせてくれる国、オランダ。

このトレイルはDutch National Forestry Serviceのウェブサイトに載っているルートなので、週末を森林地帯で過ごしに来た人々が「近くでちょっと歩けるトレイル」を探すとぱっと最初に出てくるのがここなのだろう。

森の中に小道がいくつも走っているが、代表的な周回ルートは約6kmで気軽な散策には手頃な長さだ。この日はちょうど週末だったこともあり、私達が歩いている間じゅうひっきりなしに他のカップルや家族・友達連れのグループとすれ違った。

都市の方にいると忘れてしまいそうになるが、本来伝統的なオランダ人というのは森や草原、自然の中を気軽に散歩するのが大好きな人たちなのだ。

Crispという言葉がぴったりな、しんしんと音がしそうな空気の中、静かで穏やかなひと時を過ごして別荘地に戻った。
レストランでは、これまた秋らしく大きなマッシュルームのステーキを味わった。

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